【福祉・社会政策】ヤングケアラー(Young Carer)

ヤングケアラーとは、
本来は大人が担うような家族の介護や世話を、**18歳未満(またはおおむね30歳未満まで含める場合もあり)**の子ども・若者が日常的に担っている状態を指します。


1. 定義をかみ砕くと

「家族の事情で、子どもが“家族のケア要員”の役割を背負っている状態」
です。

ここでいう「ケア」には、次のようなものが含まれます。

  • 身体介護
    • 食事の介助、入浴の介助、トイレの介助
  • 家事の代行
    • 炊事、洗濯、掃除、買い物
  • きょうだいの世話
    • 保育園の送迎、食事を食べさせる、寝かしつけ
  • 精神的な支え
    • うつ病の親の話し相手になる、感情のケアをする
  • 事務的な支援
    • 役所や病院の手続き、通訳(外国籍の親の代わり)
    • 金銭管理の補助

2. 具体例①:祖母の介護をする中学生

状況

  • 中学2年生のAさん
  • 母はフルタイム勤務、父は単身赴任
  • 同居している祖母が要介護状態

Aさんがやっていること

  • 毎朝、祖母の朝食を準備
  • 学校から帰ると、トイレ介助・おむつ交換
  • 夕食を作り、薬を飲ませる
  • 祖母が夜中に起きたら対応

問題点

  • 部活に参加できない
  • 宿題やテスト勉強の時間が足りない
  • 友達と遊ぶ機会が極端に少ない
  • 慢性的な睡眠不足

→ このAさんは、典型的なヤングケアラーです。


3. 具体例②:うつ病の母を支える高校生

状況

  • 高校1年生のBさん
  • 母がうつ病で無職
  • 父は離婚して家を出ている

Bさんがやっていること

  • 毎朝、母を起こす
  • 食事を作る
  • ゴミ出し・洗濯・掃除を全部担当
  • 母の愚痴や不安の聞き役になる

問題点

  • 「自分がいないと母はダメになる」という強い責任感
  • 友達に家庭の事情を話せない
  • 進学を諦めかけている
  • 強いストレスと不安を抱えている

→ これもヤングケアラーに該当します。


4. 具体例③:外国籍の親の通訳をする小学生

状況

  • 小学5年生のCさん
  • 両親とも外国籍、日本語が不自由
  • 父が糖尿病で通院中

Cさんがやっていること

  • 病院で医師の説明を通訳
  • 役所で手続きの通訳
  • 電気・ガス会社への電話対応

問題点

  • 医療の重要説明を正確に理解できない
  • 大人の責任を子どもが負っている
  • 学校を休んで付き添うことがある

→ これも広義のヤングケアラーです。


5. 何が問題なのか?

ヤングケアラーの最大の問題は、
**「本人の成長・学習・人間関係の機会が奪われる」**ことです。

具体的には:

  • 学業成績の低下
  • 不登校・中退
  • 進学や就職の選択肢が狭まる
  • うつ・不安障害などのメンタル不調
  • 「助けを求めてはいけない」という思い込み

6. 重要なポイント(誤解されやすい点)

誤解①

「家の手伝いをしているだけでは?」

違います。
一時的なお手伝いや当番レベルではなく、
継続的・日常的に、生活の根幹を支える役割を担っている点が決定的に違います。


誤解②

「親孝行で偉い話では?」

美談にしてはいけません。
本人の意思や余力を超えた責任を背負わされている場合、
それは社会的な支援不足の問題です。


7. まとめ(一言で)

ヤングケアラーとは、
「子どもであるはずの人が、家族のケアを担う大人の役割を日常的に背負っている状態」
のことです。