「サンクコスト(Sunk Cost)」とは、すでに支払っていて、将来取り戻すことができないコストのことです。
日本語では「埋没費用」と訳されます。
💡 概念のポイント
- すでに支払ったコストは、今後の意思決定には関係ないという考え方です。
- 意思決定は「これからの利益や損失(将来のコスト)」に基づいて行うべきであり、
「過去にかけたお金・時間」に引きずられてはいけません。
🎯 例1:映画館のチケット
あなたが映画のチケット(2,000円)を買いました。
でも、上映当日、ひどく体調が悪くなりました。
このとき多くの人は、
「せっかく2,000円払ったんだから、行かなきゃもったいない!」
と思います。
しかし、その2,000円はもう戻ってこない=サンクコストです。
行っても苦しい思いをするだけなら、行かない方が合理的なのです。
🎯 例2:プロジェクト開発
企業が新しいシステム開発に5億円を投資したとします。
しかし、途中で市場のニーズが変わり、そのシステムに将来性がなくなりました。
このとき経営陣が、
「ここまで5億円もかけたんだ、今さらやめられない!」
と考えて続行するのは、サンクコストに囚われた非合理な判断です。
本来は「これから投資を続けることで利益が出るかどうか」で判断すべきです。
🎯 例3:人間関係や趣味
- 長く付き合った恋人関係で、「ここまで時間を費やしたんだから別れたくない」
- オンラインゲームで、「もう100時間もプレイしたからやめられない」
これもサンクコストの典型です。
「これから幸せか・楽しいか」ではなく、「過去に費やしたもの」で判断してしまう状態です。
🧭 覚え方(メタファー)
「沈んだお金(sunk cost)は、海の底に沈んでいてもう拾えない」
海に落ちたお金をいくら惜しんでも戻らない――
そのお金のことを考え続けるのではなく、
**「これから泳ぐ方向(未来)」**を考えるべき、というイメージです。
✅ まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | すでに支払って取り戻せない費用(時間・お金・労力) |
| 間違った考え方 | 「せっかくここまでやったんだから続けよう」 |
| 正しい判断基準 | 「これからの利益・損失」で考える |
| 例 | 映画チケット、プロジェクト投資、恋愛、趣味など |