【IT用語】ウォークスルー法

ウォークスルー法とは?

ウォークスルー法は、文字通り「一緒に歩いて確認する」というイメージです。
ただし、開発現場システム監査 では、目的ややり方が少し異なります。


① 開発現場におけるウォークスルー

概要

  • 成果物(設計書、仕様書、ソースコードなど)を作成者が関係者に説明する
  • 参加者は内容を確認し、疑問点や不備を洗い出す
  • 目的:早期に欠陥を見つける関係者の理解をそろえる

新しい 経費精算システムの設計書をエンジニアが作ったとします。

  • 作成者がフローチャートを説明:「申請者が入力 → 上司承認 → 経理処理 → 払い戻し」
  • 参加者が質問
    • 上司:「差し戻し処理は設計されていますか?」
    • 経理担当:「領収書の画像を必須にする仕様は?」
  • その場で問題点を共有 → 修正案を持ち帰る

👉 これは「レビュー会議」のような雰囲気。
人間同士の理解合わせと不備の洗い出し が狙いです。


② システム監査におけるウォークスルー

概要

  • 業務データやシステム処理を 入力から出力まで実際に追いかけて確認
  • 監査人が「このプロセスは正しくコントロールされているか」をチェック
  • 目的:内部統制や管理手続きが機能しているかを確認

経費精算システムを監査する場合:

  • 監査人が実データを使って流れを追跡
    1. 申請者が入力したデータ(入力画面)
    2. 上司が承認した履歴(承認フロー)
    3. 経理が処理した記録(会計システムへの連携)
    4. 出力帳票や支払い記録(最終結果)
  • 監査人は「差し戻しが正しく記録されているか」「承認なしで支払いが通っていないか」を確認する

👉 こちらは 監査人が業務フローを追体験して統制の有効性を確かめる イメージです。


③ 両者の違いを整理

観点開発現場でのウォークスルーシステム監査でのウォークスルー
誰が主体?成果物の作成者監査人
対象設計書・仕様書・プログラム実データ・業務処理フロー
方法作成者が順に説明入力から出力まで実際に追跡
目的不備の早期発見・理解共有内部統制の有効性を確認

まとめ

  • 開発現場 → 「みんなで設計書を見ながら、作った人が説明してレビューする」
  • システム監査 → 「データの流れを頭から最後まで一緒に歩いて追いかけ、正しくコントロールされているか確認する」