ペルソナとは、製品やサービスのユーザーを象徴する架空の人物像を設定することで、開発・設計・マーケティングにおいてユーザー視点を取り入れる手法です。具体的には、ユーザーのニーズ、課題、行動パターンを反映した詳細なプロフィールを作成します。
ペルソナの例
1. Webアプリのペルソナ例
- 名前：田中一郎
- 年齢：35歳
- 職業：中小企業の営業担当
- 趣味：週末のサイクリング
- ニーズ：営業訪問先で効率的に商品情報を検索できるアプリ
- 課題：
- 外出先でのネット環境が不安定なことが多い
- 操作が複雑なツールは使いづらいと感じる
- ゴール：
- オフラインでも利用可能な製品カタログ機能
- シンプルなUIで素早く情報にアクセスできる
2. ITサービスデスクのペルソナ例
- 名前：佐藤花子
- 年齢：28歳
- 職業：大手企業のITサポートスタッフ
- 技術レベル：中級（基本的なトラブルシューティングができる）
- ニーズ：複数の問い合わせを効率的に管理し、解決時間を短縮する
- 課題：
- 一度に多くのチケットに対応するため、状況が混乱する
- 特定の問い合わせ内容を素早く検索できない
- ゴール：
- 統一されたチケット管理システム
- AIによる問い合わせ内容の自動分類機能
ペルソナを活用するメリット
- ユーザー中心の設計が可能
- ペルソナを基に設計すると、実際のユーザーが使いやすい製品やサービスを作ることができます。
- 意思決定の指針となる
- 例えば、「田中一郎はシンプルなUIを求めている」という情報があれば、UIデザインの方向性が明確になります。
- ステークホルダー間で共通認識を持てる
- ペルソナを使えば、開発者やマーケティング担当者が共通のユーザー像をイメージしやすくなります。
ペルソナ作成のポイント
- データに基づいて作成する
- アンケートやユーザーインタビューなど、実際のユーザーから得た情報を基にする。
- 具体的で詳細な人物像にする
- 名前や趣味などの背景情報を設定すると、よりリアルなユーザー像を描けます。
- 1つのプロジェクトに複数のペルソナを用意する
- 異なるターゲットユーザーをカバーするために複数作成すると効果的です。
ペルソナは、プロジェクトの成功に不可欠なツールであり、ITだけでなく多くの分野で活用されています。
以下は、「ペルソナ」という言葉を実際に使う例です。ITプロジェクトや会議でどのように活用されるかを想定しています。
1. アプリ開発のミーティングでの発言例
開発チームリーダー：
「今回のアプリでは、営業担当の田中一郎さんというペルソナを基に設計しています。特に、外出先でもオフラインで情報を参照できる機能を重視しました。UIも田中さんのようにシンプルな操作を求めるユーザー向けにデザインしています。」
2. マーケティング戦略会議での発言例
マーケティング担当者：
「私たちのターゲット層に対してペルソナを設定しました。例えば、地方の中小企業に勤める30代のIT担当者を想定し、彼らの課題解決に特化したメッセージを広告で訴求したいと考えています。」
3. UXデザインワークショップでの発言例
デザイナー：
「ペルソナとして設定した佐藤花子さんの場合、普段は業務で複数のタスクを管理しているので、タスクの優先順位を一目でわかるデザインが必要です。このペルソナをもとに、ダッシュボードを設計しました。」
4. 製品テストの議論での発言例
テスト担当者：
「田中一郎さんというペルソナを基にテストシナリオを作成しました。特に、外出先でネット環境が悪い状況を想定した動作確認を行いました。」
5. 顧客向けプレゼンテーションでの発言例
営業担当者：
「今回ご提案するサービスは、地方の教育現場で働く先生方をペルソナに設計しました。彼らが簡単に使える教材作成ツールを目指しています。」
6. 要件定義の場面での発言例
プロダクトオーナー：
「ペルソナを設定してユーザー視点を取り入れたいと思います。例えば、システムを利用する事務職の山田太郎さんをペルソナにして、日常業務の効率化を図るにはどの機能が必要かを検討しましょう。」
これらの例のように、「ペルソナ」という言葉は、ユーザーの特徴やニーズを議論する際に役立つ共通の言語として活用されます。
ペルソナの英語表記は “persona” です。この言葉はラテン語由来で、「人物像」や「仮面」という意味があります。ITやマーケティングの分野では、特にユーザーを象徴する架空の人物像を指して使われています。