
プロダクトポートフォリオマネジメントとは
「プロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)」とは、会社が持つ複数の製品(プロダクト)を「まとめて管理」し、投資やリソース配分を最適化する考え方です。
簡単に言うと、「会社が持っているプロダクトを資産のポートフォリオ(株のポートフォリオのようなもの)として扱い、どこに力を入れるか、どこは縮小するかを戦略的に決める仕組み」です。
イメージしやすい例
例1:飲料メーカー
ある飲料メーカーが以下の製品を持っているとします。
- A商品:ロングセラーの炭酸飲料(安定して売れているが成長は鈍化)
- B商品:急成長している健康飲料(将来性が高い)
- C商品:売上が低迷している昔の人気商品
- D商品:新しく開発中のエナジードリンク
ここでPPMを使うと、以下のように考えられます。
- A商品は「金のなる木」:利益を安定的に出すので維持はするが投資は最小限。
- B商品は「スター」:成長が見込めるので広告や開発に積極投資。
- C商品は「負け犬」:縮小や販売終了も検討。
- D商品は「問題児」:まだ売れるかわからないが投資して育てるかどうか判断する。
これは有名な「BCGマトリックス」を使ったプロダクトポートフォリオの例です。
例2:IT企業(SaaS会社)
あるIT企業が以下のサービスを展開しています。
- プロジェクト管理ツール(既に大企業に広く浸透、利益安定)
- AIチャットサービス(利用者急増中、今後大きな利益を生む可能性)
- ファイル共有サービス(競合に押されて利用減少中)
- 新しいセキュリティ製品(試験導入中、将来性は未知数)
→ どのサービスにエンジニアを重点的に割くか、どのサービスの開発を縮小するかを「ポートフォリオ全体で見て」決めるのがPPMです。
なぜ重要か?
- 限られたリソース(人材・資金・時間)を最も効果的に配分できる
- 会社全体で「成長する領域」と「縮小すべき領域」を整理できる
- 一つの製品に依存するリスクを下げられる
まとめ(たとえ話)
「プロダクトポートフォリオマネジメント」は、まるで畑を持つ農家のようなものです。
- よく育つ作物(スター)には水や肥料をたっぷり与える
- もう収穫しやすいが成長しない作物(金のなる木)は維持管理だけ
- 枯れかけている作物(負け犬)は畑から取り除く
- 芽が出たばかりの苗(問題児)は、将来性を見極めて手をかけるか決める
こうして「畑全体=会社の事業全体」をバランス良く管理するのがPPMです。